雷をエネルギーにするドローンが世界初登場 !避雷針かつ電力活用に新展しうるドローンとは

2025年4月、NTTが“飛ぶ避雷針”ともいえるドローン技術を発表し、雷を誘発し的確に誘導する世界初の実証実験に成功しました。
従来型では手が届かなかった施設やインフラに対し、雷被害の抑制と将来的な電力利用という2つの可能性を切り拓く大きな一歩となります。


1. 背景:雷害に悩む日本

雷は自然現象の中でもとりわけ制御が難しく、同時に破壊力の大きい存在です。日本では毎年、通信インフラや発電設備、公共施設などが雷の影響を受け、1000億円から2000億円にも上る経済的損失が発生しています。
特に近年、再生可能エネルギー施設の増加や都市構造の複雑化に伴い、雷被害のリスクは広がっています。

避雷針や避雷装置といった従来の雷対策では、風車やスタジアム、山間部の通信施設など、避雷針が設置しづらいロケーションでの防御には限界がありました。
こうした背景から、NTTは“雷の着地点をあらかじめ決めて導く”という発想の転換に基づいた新しい防災技術の開発に着手しました。


2. “雷誘導ドローン”その仕組み

NTTが開発したドローンシステムは、次のように構成されています:

  • ファラデーケージ構造:ドローンの外装を金属メッシュで囲い、雷電流を安全に回避
  • 地上との連接ケーブル:地上スイッチを通じて300 m上空から地面へ導電
  • 電場検知による瞬時の誘導:地上の電場センサーが雷の兆候を捉え、曇り上空へ即座にドローンを展開

NTTが実験を行ったのは、2024年12月から2025年1月にかけての島根県浜田市。標高およそ900メートルの山間地で、雷が発生しやすい自然環境を活かして検証が行われました。電界強度をリアルタイムに監視する地上のセンサー群が雷雲の接近を検知すると、耐雷構造を備えた専用ドローンを上空300メートルまで上昇させます。

ドローンからはワイヤーを通じて地上と接続されており、地表のスイッチを操作することで人工的に電界を急激に変化させます。この操作により、雷がドローンに向かって落ちるように誘導するという仕組みです。実際の実験では、ドローンが雷を受ける様子が複数回観測されており、その誘導に成功したことが明らかになりました。


3. “飛ぶ雷避け”の意義と未来展望

今回の実証で技術的な可能性が確認されたことにより、NTTは今後以下のような方向性で研究を進める予定です

  • 雷予測の精度向上:地上の電界センサーをさらに高度化し、落雷発生のタイミングや場所をリアルタイムで正確に把握できるようにする。
  • 自律型雷誘導ドローンネットワーク:危険が高まる地域へ複数のドローンを自動配備し、落雷の位置を意図的に誘導・分散させるシステムの構築。
  • 雷エネルギーの蓄積・転用:誘導された雷の電力を高効率で貯める超高耐圧キャパシタやバッテリー技術の開発。電力供給の新たな選択肢として活用する構想も検討されています。

これらの技術が実現すれば、雷は“脅威”から“資源”へと認識を変えることができ、災害対策とエネルギー問題の両方に貢献する画期的な手段となるでしょう。


まとめ

NTTの雷誘導ドローンは、都市や施設を積極的に雷から守る「飛ぶ避雷針」としての役割を担うと同時に、自然エネルギーの活用という新しい地平を切り拓きつつあります。都市インフラの防護を飛躍的に高めるだけでなく、自然の力を積極的に活かす“未来のエネルギー社会”への一歩とも言え、依然として多くの技術的課題はありますが、安全性と持続可能性を両立させる未来を感じさせる成果と言えるでしょう。

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